クラル 『クラル』

Atlas'主役の一人

作者:あきら
特徴:童顔19歳
武器:ロッド
魔法:炎の力、他

Atlas' characters―――――――――――――――――――――――――クラル・ギル

  地下室の階段を駆け上がると、クラルは地上へ跳び出した。物凄い風と炎。
「ク……っ、何だよこれ!!」
周りには人が数人倒れていた。
「―!! おっ、おじさん!!」
一番近くにいた人を抱き起こした。アンの父親であった。
「しっかりしてよ!!」
まだ息はあった。
「待ってて! 今、中へ……! ……―!?」
地下室へ行こうとしたクラルの服を力強く掴み、止めた。
「クラル、俺の事はもういい……アンを……アンを、頼むぞ……。それから、石も……」
「おじさん!!」
「いいか、お前は選ばれた者だ……でも、忘れるなよ。自分のために生きるってこと……」
「……しゃべんないで……」
「……、お前は……昔から……優しい子だ……な」
クラルにとっては、アンの父親は自分の父の様でもあったのだ。父のいない寂しさはこの
人が全て癒してくれた様なものだった。笑う‘父親’に頭を撫でられた。
「クラル……その石を、使えるのは、お前だけじゃない……、悪魔にも、その石を使える
者がいるはずだ……。それは、他の石も同じ……。おそらく……四天王がそうだろう……。
奴らは、もう動き出してしまった。このままでは……いられないだろう……」
「……どうすればいいんだよ……?」
「お前は、行かなければ……いけない。けど……自分がしたいこと……をしろ。……っ」
男の目はもうほとんど開いてはいない。ただ、クラルの服を掴む手が固まっていく様だ。
「……いつも……優しく……強い男になれ……」
「……。じょ−だんやめてよ……おじさ……」
男の目はもう開かなかった。ただ幸せそうにクラルの腕の中で息を引き取っていった。
「……っ!!」
泣きはしなかった。もう涙も枯れてしまったのだろうか……ただ悔しかった。そして悪魔
を憎んだ。――……たった2日。たった2日で今までの自分の全てを奪い、あくなき業火
でまさに今焼き尽くしていこうとする悪魔を……。 




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