「ったく…これだから、オマエって奴は。無茶し過ぎだっつーの、本当」

 ワタルの攻撃を受けて再び落下していたはずのイエローに、聞こえるはずのない声が
聞こえる。だって彼は、少し前にワタルにとり込まれたはずだ。
 だからレッドさんが、ボクを助けられるわけがない。
 ひょっとしてボクは、もう死んでしまって。これは断末魔が見せる夢なのだろうか?

「―――お前なぁ!! 遅いぞレッド!! 何してやがった!!」
 イエローのその胡乱な夢は、グリーンの怒声によって現実のものとなった。
「悪い悪い。イエローに頼まれてた事があったから、それをちょっと先にさ」
もう一度聞こえた声に、慌てて目を開くと。墜落中のイエローを空中でキャッチしたらし
いレッドが、イエローに向かって微笑んでいた。ついでに地上に向かってポケモンを放ち、
サカキを牽制する。

 レッドとイエローの2人は現在、グリーンのものらしきリザードンの上にいる。リザー
ドンが地上に着くと、イエローはやっと声を出した。
「レ、レッドさん…!? 本当に…!?」
「遅くなって悪かった。後…よく頑張ったな、イエロー」
「ど、どういう事なんですか!? レッドさんは確かにさっき、ワタルに…!!」
イエローが慌てて、上空のワタルに目をやる。ワタルの外見には、これといった変化はな
い。レッドだけが三位一体から解除されたわけではなさそうだ。

「…そうか。俺がとりこんだのは…偽者だったというわけか」
ワタルが凄まじい怒りを込めた目で、レッド達を見下ろす。
「そう。あの転送装置、ブルーがちょっと設定をいじったのか、何でか一旦トキワに出て
さ。そこで待ち受けてたグリーン達が俺の代わりを、ブルーから預かったメタモンで俺に
変装させて。後、俺のニョロボンの『さいみんじゅつ』でそいつに、そいつは俺だと暗示
をかけて、もう一度転送装置に入れてそっちに返したんだよ」
マサキ曰く、「何だか時間がかかった」のはそのためだったのだ。
 本当ならその転送で、トキワに帰るのはブルーだった。だからグリーンとシルバーは、
ブルーが拉致されていても落ち着いていられたのだ。四天王の狙い…マサラの血を持つ者
としてポケモンと融合させられる時の転送で、ブルーはトキワに帰ってこれる手筈だった。
代わりにブルーに変装させた誰かを、こちらに送るという事だったのだ。

「まさかワタルに取り込ませるためのキメラ合成だとまでは、読めなかったが…四天王を
油断させる事にはなる。そう思ってな」
「それが思わぬ功を称したわけね。だからあのワタルには、トキワの力はあってもマサラ
の力までは無いはずなのよ」
グリーンとブルーが不敵な顔で宣言する。
「道理で、力を扱い切れていないわけですね…ワタルは」
だから自分でも何とか、今までのワタルの攻撃に耐えられたのだ。ワタルも薄々、おかし
いとは感じていたようだ。

「アタシじゃなくてレッドを送る事にしたのは、レッドがニョロボンを持ってたからよ。
後…もう自分の陣営にいると油断させ、敵に対する切り札としてとっておくのは…悔しい
けど、レッドが適役だもの」
レッドの偽者を送ってから、レッド、グリーン、シルバーはすぐに、森へ向かった。
 が…。
「途中でレッドの奴、寄る場所があるとか言いやがって…四天王の居場所を知ってるのは
奴だけだったっていうのに」
グリーンがかなり不服そうな顔でレッドを睨む。大体の場所は教えられたので、グリーン
とシルバーもここに辿り着けたのだが。

「レッドさん…一体何処に寄ってたんですか?」
イエローは何となく、その答えはわかっていた。けれど彼女の姿が見えない。なのでつい
つい、不安になって尋ねた。
「あの場所…と言っても、俺は大体の予測から、探し当てたに過ぎないけど。イエローと
俺が2年前出会った場所のすぐ近くだよ」
2年前、イエローが逃げて来た方向を逆に辿っていって。そしてレッドは、ホアンがいる
場所を見つけ出したのだった。
「じゃあ、ホアンは何処ですか?」
「………」
レッドは少しだけ、辛そうな顔をして。ワタルのいる空の方を向いたのだった。

 その方向には、ハクリューに乗ってワタルと対峙するホアンの姿があった。

「…自分で全て、決着をつけるって…きかなくてさ…」
「ホアン…!!」
イエローが立ち上がって止めようとする…が。先程まで酷使していた体に、そんな余力は
残されていなかった。レッドはレッドで、サカキの相手をしなくてはならない。ホアン
を止めている余裕はなかった。


 暗い暗い空の中で。ハクリューに乗る少女は、ほとんど異形の者と化した青年を全く恐
れず、直視していた。

「…何故、戻ってきた。目障りだと言っただろう」
ワタルが厳しく重い、低い声で問う。
「ワタルこそどうして…ウソをつくの?」
ホアンはそれに対し、あくまで淡々と冷静に問い返す。
「ワタル、私の事…殺す気なんて、なかったんだね。ただ、イエローに私をかばわせて、
酷い怪我を負わせて……そのためにレッドさんが実験台として、ポケモンと融合する。そ
れを見越していたんだよね?」
それは、イエローも何処かで悟っていた。どうして自分はあの時、即死せずに済んだのか
……おそらくは『破壊光線』が、とことん弱い出力で放たれていたのではないかと。
「私が連れてたハクリュー達の記憶を読んで、イエローが私をかばうだろうってわかって
たんだよね。ハクリュー達は、回収するって言ってたのに……さっき、レッドさんに会っ
た時。この子達、私について来ていた。チュチュだけじゃなかったの、私を追ってたのは」
「…そいつらが勝手に追いかけたんだろう。どうせ俺の元にいたって役に立たん」
「―どうやって? この子達はボールの中にいたはずなのに。誰かがボールから出さない
と、私を追うなんて出来るわけないもの」
ホアンは一層哀しそうな目をした。

「ねぇ、ワタル……もうやめよう、こんな事。ワタルはどちらかが死ぬまで、続ける気で
しょ? そんなの私嫌だし、この子達も嫌がってる」
ハクリュー達を指差して言った。バカな、とワタルが嘲笑する。
「トキワの力を無くし、ポケモンの心を読めないお前ごときが何を戯言を。いいから消え
ろ。目障りだと言っているだろう」
「…読めなくても、わかるよ。だってこのままじゃ……負けるのは、ワタルだもの」
地上ではちょうど、四天王が倒され、サカキが追い詰められようとしていた。
「ワタルが勝つなら、いい。そうこの子達は思ってる。でも、負けるなら……死ぬまで戦
うつもりなら、止めるって。…わかるよ、私だって…ワタルが死んじゃうの、嫌だから。
そんな私の協力を、この子達は…しようとしているから…」
ハクリューの上にジュゴンも乗っている。一番ワタルを思っているのは当然、元々ワタル
の持ちポケモンであるハクリューだろうが、ジュゴンもホアンと心は同じらしい。

「…みんな、知ってる。ワタルが何を助けようとしてるのか……だからみんなも、ワタル
を助けたいんだから」
 戦っているレッドの代わりに、ブルーに抱きかかえられ横たわるイエローは。
 ある違和感を、誰より早く感じ取った。

「ワタルはもう、自分じゃやめられないんだよね。やめられるくらいならこんな事…そも
そも始めないもの」
 ホアンは本当に、哀しそうだった。

「私、楽しかったよ。この子達は私のポケモンじゃないけど…本当の主人みたいに、慕っ
てくれた」


 だから……こんな我が侭にみんなを巻き込む事。許して下さい。


「あ………」
暗闇にまぎれて見えないが、確かにイエローは空に、霧となったゴースを感じた。


「それじゃ、みんな。―いこっか。」



「ダメ…!! ホアン…!!!!」
 イエローが必死の思いで立ち上がった時には、手遅れだった。



「『冷凍ビーム(時を止めて)』………『破壊光線(サヨナラ)』」




 場に響いたのは。凄まじい耳鳴りのする高周域の、連続した反射音だった。


 霧となってある範囲まで中空の球状に広がり、ジュゴンの『冷凍ビーム』に固められた
ゴース。その粒子に乱反射して、球の中を縦横無尽に走り回る『破壊光線』。
 ジュゴン、ハクリュー、ゴースの3匹でホアンが編み出した、彼女の最終奥義だった。
その欠点は……指示を出すトレーナーと、『冷凍ビーム』・『破壊光線』を吐くポケモン
が、共にゴースの作った球の中に在らなければならない。という事だろうか。


「ホアンーーーー!!!!!!!」
絶叫するイエローの声すら、止まる事を知らない『破壊光線』の音にかき消されていく中。


 ―ありがとう。私、ホアンって名前、大好きだったよ。


 そんな声を。イエローは、聞いた気がした。



                                       *



 ―チュチュをよろしくね、イエロー。イエローなら安心して任せられるから。

 誰かが笑顔で喋っている。やっと何もかもがわかり、自分本来の願いへと解放された…
そんな満たされた笑顔で、彼女はピカチュウに伝言を託す。

 ―イエローなら後で、私が今チュチュに喋ってる記憶を読む事が出来るよね?

 最後の時にピカチュウはハクリューに乗せてもらえず、地上から主人を見ている事しか
出来なかった。あの奥義に巻き込むポケモンは、ホアンは極力少なくしようとしたのだ。
何故なら、球の内にいる普通のポケモンは……とてもじゃないが、無事でいられる技では
ないから。

 ―あのね。………ゴメンね、イエロー。
  私本当は、イエローともっと、沢山お喋りとかしたかった。
  イエローと一緒に森をまわったり、釣りをしたりしてみたかった。
  なのに素直になれなくて。酷い事いっぱいして…本当に、ゴメンね。

 その苦しい笑顔に泣きそうになった。どうして謝られるのかわからない。謝らなきゃい
けないのは自分の方なのに。彼女から全てを奪った上に、結局守る事すら出来なかった…
…そんな自分こそ、何百回謝ったって足りないっていうのに。


 そして更に、記憶は遡る。これは自分への伝言ではなく、ただ単に彼女がピカチュウと
話していた時の記憶だ。

 ―レッドさんは多分、イエローが好きなんだと思う。

 それは迎えが来て、トキワの城から森に帰る途中。ハクリューの背で、ワタルにも聞こ
えないように、彼女がこっそりと喋っていた事だった。後ろから追っていたレッドにも、
ホアンが何を言っているかは聞こえなかっただろう。

 ―私ずっと、イエローの代わりに森を守ってくれてたレッドさん…好きだった。レッド
  さんが森に来たら、修行が無い時は絶対に会いにいってた。

 会いにいくというよりは、影からその姿を見るだけだった。アマリロ王女と同じ姿をし
ている自分は、ワタル達以外には絶対関わってはいけないときつく言われていた。だから
レッドの事は、見ているだけで諦めた。

 ―やっぱり私、イエローには勝てないみたい。だって……。

 レッドさんが好きなのは、イエローだから。

 それは普通、特にホアンのような立場だったら…耐え難い悔しさを覚えても良いはずの
事だった。…なのにホアンは。何故か、幸せそうに笑っていた。


 …ありがとう。最後にそう口にした彼女は、ホアンである自分を好きだと言った。
 イエローに戻りたかったはずの彼女が…ホアンで良かったと。そう、言っていた。


「やだ……いかないで、ホアン………!」 


 泣くようにやっとそれだけ、口に出した自分に。
 チュチュの記憶の中にいるだけのホアンは、笑って手を振った。


                                       *


「……!!」
がばっと、イエローは突然、激しい勢いで起き上がった。
「―? 目が覚めたのか、イエロー!」
ここは……トキワの城の、一室だろうか。レッドがベッドに横たわる自分の顔を覗き込ん
で、心の底から安堵したような笑顔を見せる。
「大丈夫か、寝にくくないか? その羽、結構邪魔だろ?」
「え? ……あっ」
フリーザーの羽が背中から出ている。上手い具合にたたんであるので仰向けに眠れていた
ようだが、言われてみれば、確かに邪魔と言えば邪魔でもあった。どうやらまだ、融合は
続いていたらしい。
「もう3日も眠りっ放しだったんだぜ、イエローは。…目が覚めて、本当に良かった」
「…3日…? ……!!」
思い出したくはなかったけれど。3日前に何があったのか、記憶の波が怒涛のように押し
寄せてきた。

 そして。心配そうに自分のベッドにちょこんと座り、自分を見ているあるピカチュウを、
イエローは見つけた。
「チュチュ………」
このピカチュウから、眠っている間に記憶を読んでいたらしい。
「レッドさん。………ホアン、は……」
それをきくと。レッドもとても、辛そうな目をして………わからない、と首を振った。


「―? わから…ない?」
その答えは、イエローにとっては返って意外だった。
「ああ。わからない。ただ一つわかるのは、ワタルは生きてるって事だ。何故かって…」
レッドはその場に、プテラを出した。レッドの代わりと融合して、確かにワタルにとり込
まれていたはずのプテラだ。
「こいつと融合させた俺の代わりも、生きていた。やっぱし3属性の融合をしていた分、
こいつらの方は何とかアレにも耐えられたんだろう」
融合が強制的に解かれる程のエネルギーではあったが。結果的に、レッドのために暗示を
かけて影武者にした者が死なずに済んだことは、彼らにとって本当に一安心だった。まさ
かあんな事態が起ころうとは思ってもみなかったので、あの時は相当焦ったのだ。
 というわけで、融合していた者の内の一人と一匹が生きていた以上。他もおそらく、生
きていて然るべきだろう。

「少なくとも、ワタルは生きてる……じゃあ彼は、また…!」
「―いや。あいつは多分…もう、こんな戦いは…起こさないんじゃないかな」
そうしてレッドは淡々と語る。あの時に自分が見る事の出来た、わずかな事実の欠片達。

「ホアンが『破壊光線』を放った瞬間……あいつ、ホアンの方へ飛び込んでいったように
見えた。何だかんだ言って………本当は、ホアンを助けたかったんじゃないかな」
それに、とレッドは続ける。
「ホアンはイワークも持っていたはずだよな? でもあの場には出ていなかった。このピ
カチュウと同じで、あの技に関係ないポケモンは別の場所に置いておいたはずなのに……
俺は確かに、イワークが。あの球の中にいたのを見たんだ」

 ―けれど。それはどちらも、隙だらけの守りだ。あの乱反射の中、彼らがホアンを守り
通せたかどうかは……。隠さずにレッドは言う。イエローだって、『破壊光線』のたった
一閃で、生と死の淵をさまよっていたのだ。本当ならば…守り通せる方がおかしいような
事態とも言える。

「………」

 とにかく! とレッドは、暗い雰囲気を打開するかのように明るい声で仕切った。
「戦いは終わった。ワタル達は行方不明だけど、それって逆に、ホアンは生きてると信じ
てもいいって事だよな? 遺体を見てないんだから…少なくとも俺は。そう、信じてる」
イエローは黙って、うなずく事しか出来なかった。そう…戦いは終わったのだ。トキワも
守られ、レッド達も誰一人、欠ける事がなく。トキワに向かう前のマサラでの自分の願い
は、全て叶えられたのだ。だから何を、文句を言う事があるというのだろう。

「……あ」
ぽろぽろ、と。イエローの頬を、自分でも気付かぬ内に……大粒の涙が流れ落ちていた。

「………」
レッドは黙ってベッドに座り、そんなイエローを抱きしめた。


「…なぁ、イエロー」
とても優しい声をして、彼は言う。
「俺…イエローが好きだ。だから一緒に、マサラに来てほしい」
「―えっ…!?」
驚くイエローから手を放すと、レッドは赤い顔を何とか直して何かの合図のベルを鳴らす。
 そのベルを聞いて、部屋の外で待っていたらしい者達が、部屋に飛び込んできた。

「イエローさん、目が覚めたんですね! 良かったぁー…本当に良かったぁー」
「おいクリス、あんまり煩くするなよ。病み上がりにゃーもっと気遣ってやれよ」
「…何ですってぇ! 他の人ならともかく、何でゴールドにそんな事言われなきゃならな
いのよ!」
「だ、だからそんな声で叫ぶなってばよォ」
入ってきた途端、そうして騒がしく漫才を始める2人。

「良かった、イエロー。元気そうね。何処かおかしいとこない?」
「融合の影響は何もないか? …きちんと自分自身は、保てているか」
ブルーとグリーンが冷静に、イエローの様子を見ている。シルバーはブルーの後ろに控え
ている。イエローが大丈夫ですと答えると、3人共かすかにほっとしたようだった。
「…これが一番、心配だったのよ。まさかイエローまでポケモンと融合させる事態になる
とは、思ってなかったから…フリーザーに侵食されるんじゃないかって」
「しかし、まだ安心は出来ない。お前の傷は相当重傷だったそうだな。当分フリーザーと
の融合を解く事は出来ないから、覚悟しておけ」
はぁ…と、感心してしまうイエロー。どうやらイエロー自身の力であの傷がもう少し癒せ
るまで、この羽と尻尾とは離れられないらしい。
「何かあったらすぐに言うのよ、イエロー。フリーザーから抵抗が無いとも限らないんだ
から」
「ハイ。多分大丈夫だとは、思いますけど」
フリーザーは、トキワの森のガーディアンである自分を認めているのだろうか。ほとんど
全くと言っていい程、今は自己主張してくる気配が認められなかった。


「………ところでサ」
きらりん、と瞳に光をたたえ。ブルーがにやりと、レッドとイエローの2人を回し見た。
「イエロー、返事はどうなのよ? レッドについていくの? それともここに残るの?」
えっ…。イエローは呆然とし、レッドはその場で石になる。
「このブルー様に隠し事は出来ないのよ、ホホホv」
得意がるブルーに、ゴールドとクリスがある物を発見する。
「…うわ。盗聴器でやんの」
「ブルーさんって…何だか、凄い人…;」

「…というか。何の話なんだ、一体」
いぶかるグリーンに、ブルーが事の説明を始める。石なるレッドにピキピキとヒビが入る。
「「………」」
グリーンと、たまたま話を聞いていたシルバーが共に沈黙する。グリーンは呆れ顔、シル
バーは「そんな事が出来るのか??」という感じで。
「あのなぁ…イエローはアマリロだ。トキワの王女だぞ」
「そしてレッドは、マサラの次期国王よね。グリーン」
にこにこと返すブルー。事の重大さをわざと無視しているような笑顔だ。
「王が国を捨てていいと思ってるのか。そんな事がまかり通るわけがない」
可哀想だが…と言いかけたグリーンに。それならさ〜、とブルーが、突拍子も無い提案を
出した。

「それならさ。トキワはグリーンが治めちゃえばいいじゃないv」

 ………。一同・沈黙。

「グリーンはあんまり自覚してないだろうけど。トキワの人達は3日前の戦いで、実際に
トキワ城に残って、城を守り通してくれたグリーンをとっても特別視しているのよ」
だからグリーンが王様やっても全然大丈夫! そうブルーは言いたいようだった。どうや
ら半ば本気らしいこの提案に、今更ながらにグリーンが青ざめていく。

「…そうですよね。ボクより絶対、グリーンさんの方が王に相応しいです」
イエローは、やっと笑った。
「ボクからもお願いします、グリーンさん。ボク…レッドさんと一緒がいいです。レッド
さんと一緒に、マサラに行かせて下さい」
無責任なのはわかっている。それでも、イエローは。


「ボクは…トキワの森の、ガーディアンです。だから、トキワの王女にはなれません」


 ―いつか2人で森を守ろうね、イエロー。


「ホアンと約束したから。…マサラに行っても、ずっと…森を、守り続ける」




 その約束が叶う日を信じて。
 トキワの森のイエローの旅は、ひとまずはここで、終わりを告げる事となる。



END

PSL、一応完結。影のどころか、いつの間にか主役はホアンになってます(逝け)
そんな予定じゃなかったんですよ、最初に出した時は!! おかしい…何でこうなったんだ…(悩)
ホアンの最終奥義についてはツッコミ不可です。攻略本なかったんですYO…!!(ってかそもそも無茶)
…とにかく……長かった。2年以上かけて書いたわりに、見返すとやっぱり結構内容薄いし(死)
―まぁいい!! ちゃんと終わらせられただけで感動です感動!!
ここで終わりは終わりなんですけど。まだ実は残ったものがあったり…。
その内にプロローグとエピローグをUPします。本当は余分な内容なので、期待はナシで。
もしも機会があればいつか、ちょっとした短編などもUP出来るといいのですが…。
まだもう少しだけ、この世界にお付き合い下さると感謝感謝なのです〜(><)